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2.4 ユースケース図のメリット・デメリット

 ユースケース図の特徴は、「システムに対する要求」「システムの振る舞い」を、「対象」「アクター」「ユースケース」とに分けて捕らえる点です。その結果、特に「システムにどのような機能があるのか、何ができるのか」が明確になります。「システムに何ができるのか」がよくわかることがユースケース図のメリットであるといえます。

 例えば、宿泊予約業務を従業員に任せる場合を想像してみてください。ほとんどの場合、役割分担がはっきり決まっていないのではないでしょうか。ただ、人と違い、コンピュータはあらかじめ作成しておいたプログラムしか実行できません。ですから、最初に「何ができるのか」、きっちりと決めておかなければいけないのです。人に仕事を頼む場合、「とりあえずやってみて」など頼めば、時間がかっても何とか実行してもらえるでしょう。しかし、システムの場合は決して「とりあえずやってみ」ることはありません。

 情報システムを構築する場合、「そのシステムは何ができるシステムなのか」を過不足なく定義することが非常に重要になってきます。2.3の例をみてもわかるとおり、ユースケース図は一目で「システムに何ができるのか」わかる図となっています。「四角形の中=システムにできること」「外=システムにできないこと」と、はっきりわかります。

 要件定義に有効なユースケース図ですが、デメリットもあります。システムを構築する前には、「本当にこれだけの機能があれば業務が遂行できるのか」、判断しなければいけません。しかし、ユースケース図では、業務フローのなかの対象のシステム(例では宿泊予約システム)の役割や運用の流れなどが表現できないため、ユースケースに不足がある場合に見えにくいのです。さらに、パフォーマンスやアベイラビリティなどの非機能要求を表現することもできません。ユースケース図は確かに非常に便利ですが、ユースケース図だけでは、システムに対する要求全てを表現できない、というのが筆者の感想です。デメリットも充分理解した上で、他の図や説明の文書で補う工夫が必要でしょう。

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