リモートワーク時代のユーザビリティーテスト方法

これは TECHSCORE Advent Calendar 2017 の 13 日目の記事です。

きっかけ

当社では業務系システムの開発が多く、複雑な機能では画面設計の段階でできる限りユーザビリティーテストを取り入れるようにしています。

ユーザビリティーテストといっても、マジックミラー付きの施設や立派なカメラを使った大掛かりなものではなく、社内の会議室と手持ちのWebカメラやスマホ等を利用した手軽な方法で行っています。

最近はデジタルツールやネット環境が発達してきたことと、プロジェクトチーム内で拠点間(東京ー大阪)やリモートワーカー、在宅勤務者とのコミュニケーションが増えてきたため、このたびTV会議システムを活用したユーザビリティーテストにチャレンジしてみました。

特別な道具を使うことなく、遠隔地からも多忙な人でも参加しやすい環境を作ることが出来ますので、具体的な方法をご紹介します。ユーザビリティーテストをもっと手軽に実施したい、関係者をもっと巻き込みたい、などとお悩みの方はぜひ参考にしてください。

テスト内容

今回は

  • ペーパープロトタイプによるユーザビリティーテスト
  • PC向け製品
  • TV会議システムはGoogleハングアウトを使用
  • 被験者の発言と操作状況を動画に記録する

を前提にしています。

準備するもの

  • TV会議システム
  • 被験者用パソコン(Webカメラ内蔵のもの)
  • 録画用パソコン(録画ソフトがインストールされているもの)
  • Webカメラ(PCに接続できるもの)
  • テストルーム
  • モニタールーム(TV会議システムが使える環境)

機器構成

※スペックの高いパソコンであれば、被験者用、録画用のパソコンを1台にまとめることも可能です

実際の様子

  • テストルームの様子

 

  • カメラに写りやすいようペーパープロトタイプはノートPCに立てかける

 

  • Googleハングアウトの映像

 

  • 遠隔地からGoogleハングアウトに参加して見学

 

  • 別室のモニタールームは出入り自由なので気軽に参加できる(のべ5名が参加)

 

  • モニタールームでは気づいた点を付箋に書き残してもらう

考察

テストの被験者と司会進行役はさすがに対面でないと難しいですが、観察者としてなら遠隔地からも参加し、映像と音声で画面の操作状況が把握できることが分かりました。

別室からの見学が可能になったのも大きな収穫です。以前は設備的に同室で見学するしかなく、被験者が緊張しないように衝立てで目隠しする、声を出さないなどの配慮が必要でしたが、TV会議システムを利用すれば声の届かない離れた部屋からもモニタリングできますので、見学者同士のディスカッションも気兼ねなくできるようになりました。

また「百聞は一見にしかず」と言いますが、ユーザビリティーテストは「何を作ろうとしているか」をUIとユースケースの両面から伝えられるので、ステークホルダーに製品への理解を深めてもらったり、チームメンバーにプロジェクトへの参加意識を持ってもらうための良い機会にもなります。
実際に見学者として参加したエンジニアからは「設計書に書かれた仕様をただ実装するよりも利用シーンが想定できて関わってる感が持てる」というフィードバックもあり、特に規模の大きいプロジェクトでは有用そうです。
今後はもう少し範囲を広げて、他チームとのノウハウ共有やアイデア共創の場としても活用できないか目論み中です。

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