2. 3つのOWL
OWLのサブランゲージ
OWLはユーザの層に合わせて、OWL Full、OWL DL、OWL Liteの3種類提供されています。OWL FullはOWLのフル規格であり、最大の表現力を備えているため複雑なクラス定義も可能です。OWL DL(DL はDescription Logicの略。OWLの形式的な基礎を形成する論理を研究する研究分野に対応してこの名がついた)は、タイプの区別を厳密にすることで計算の完全性と決定可能性を提供する目的で作られました。OWL DL のサブセットである OWL Lite は簡単な実装を望むユーザ向けに作られました。これらをまとめると次のようになります。
| OWL |
説明 |
| OWL Full |
OWLのなかでは最大の表現力をもつ。複雑なクラス定義が可能。ただし、計算の完全性、決定可能性は保証されない。 |
| OWL DL |
記述論理研究に対応して作られた、OWL Liteの拡張版。語彙としてはOWL Fullと同じものを備えている。 |
| OWL Lite |
OWLの簡単な制約を必要とするユーザをサポート。形式が複雑でないため、実装しやすい。 |
構成要素
OWL Liteは他の2つのOWL規格に比べて構成要素が少なくなっています。本節では構成要素の違いを紹介したいと思います。各構成要素がどういうものであるかは次章以降で説明しますので、ここでは読み流してください。
まずOWL Liteの構成要素は以下のとおりです。
| 機能 |
構成要素 |
| RDF Schema機能 |
Class(クラス表現)、rdfs:subClassOf、rdf:Property、rdfs:subPropertyOf、rdfs:domain、rdfs:range、Indivisual(インスタンス) |
| 同等性、非同等性 |
equivalentClass、equivalentProperty、sameAs、differentFrom、AllDifferent、distinctMembers |
| プロパティの特徴 |
ObjectProperty、DatatypeProperty、inverseOf、 TransitiveProperty、SymmetricProperty、 FunctionalProperty、InverseFunctionalProperty |
| プロパティの制限 |
Restriction、onProperty、allValuesFrom、 someValuesFrom |
| メンバ数の制限 |
minCardinality、maxCardinality、cardinality(すべて0または1) |
| ヘッダ情報、バージョン管理 |
Ontology、imports、priorVersion、 backwardCompatibleWith、imcompatibleWith、 DeprecatedClass、DeprecatedProperty |
| クラスの共通部分 |
intersectionOf |
| 注記特性 |
versionInfo、rdfs:label、rdfs:comment、rdfs:seeAlso、 rdfs:isDefinedBy |
| データ型 |
rdf:datatype |
次に、OWL DL、OWL Fullで拡張されている構成要素は以下のとおりです。
| 機能 |
構成要素 |
| クラス公理 |
oneOf、disjointWith、equivalentClass(クラス式に適用)、rdfs:subClassOf(クラス式に適用) |
| クラス式のブール組み合わせ |
unionOf、complementOf、intersectionOf |
| 任意のメンバ数 |
minCardinality、maxCardinality、cardinality |
| 充てん文字情報 |
hasValue |
OWLを採用するオントロジー開発者は、どの言語が自分のやりたいことに最も合うかを考慮しなければいけません。OWL LiteとOWL DLでは構成要素の数が違うため、ユーザがそれらの構成要素をどの程度必要としているかによってどちらを採用するか変わるでしょう。またOWL Fullでは、計算の完全性が保証されませんので、推論エンジンでの利用を考えるのであれば不適切です。必要に応じて、利用するサブランゲージを決定する必要があります。