「伝われば良い」たまに耳にする言葉だ。細かい間違いなどがあったとしても言いたいことが伝われば良いということである。
半分は賛成、半分は反対だ。
言葉を発するということは相手に何かを伝えるということが第一義であるから、言いたいことが伝われば良いというのはその通りだと思う。とはいえ、間違いのない正確な言葉で相手に伝えるほうがより確実に自分の言いたいことを相手に伝えられるということに反論はないだろう。要は確率の問題である。
コストダウンが命題である。
などという誤用はよく見かける。素直に解釈すると意味がわからない。全く命題の体をなしていないからである。もちろん多くの人は「命題」ではなく「課題」か何かの間違いだと気づくので、大抵の場合は意図が伝わるという点において問題ない。しかし、「命題」の意味を素直に解釈してしまい、理解できない人、あるいは誤解する人もいるかもしれない。
信頼という点においても疑問がある。
パスワードは暗号化して保存しているので元に戻せません。
これもまぁ、暗号化ではなくハッシュ化の間違いであろうことは察しがつく。ただ、想像してみて欲しい。あなたはシステムの発注者であり、この言葉が発注先のシステムエンジニアの言葉であったとしたらどうだろう。自分の専門分野について間違った言葉を使う人を信頼できるだろうか。
専門分野でなくても誤用の多い人は相手の目にどう映るだろう。誤用するということは意味を完全に理解していないということだ。おそらく一次情報に触れるなどウラはとっていないであろう。そのような人はどんな仕事の進め方をするだろう。
そんなふうに僕は考える。
どうだろう? 「伝われば良い」だろうか?