品質とは

😺TECHSCORE Advent Calendar 2019😺の24日目の記事です。

テストチームを離れて数年、久しぶりに品質系の仕事に携わることになり、改めて「品質とは何か」を考えてみました。

「品質とはなんぞや」と問われたら、どのような回答が返ってくるのでしょうか。
バグの発生度合?、信頼性の高低?、安全性の高低?、操作性の良し悪し?、お値段の高低?
どれも文脈によっては当てはまりそうです。

 

悩んでも答えは出そうにないので、規格の定義やその道の権威の方の考えに頼ることにします。

  • 広辞苑(第7版)では、「品物の性質。しながら。」
  • ISO 9000:2015では「対象に本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度。」
  • JIS X 25010:2013 では「明示された状況下で使用されたとき、明示的ニーズ及び暗黙のニーズをソフトウェア製品が満足させる度合い。」
  • PMBOKでは「一連の固有の特性が要求事項を満足している度合い。」
  • フィリップ・クロスビー氏の定義では「品質とは『要求条件への適合』である。」(ソフトウェア品質知識体系ガイド(第2版)P16)
  • ジェラルド・ワインバーグ氏の定義では「品質は誰かにとっての価値である。」(ソフトウェア品質知識体系ガイド(第2版)P17)

となっていました。

 

これらを見ると、品質とは「要求を満たしている度合」と「満足、価値を生み出している度合」という2つの考え方があるように見受けられますが、ISOなどの規格では要求の妥当性を確認するためのプロセスも定められているため、「満足、価値を生み出している度合」と考えられます。

 

品質が「満足、価値を生み出している度合」とすると、誰にとっての満足、価値を考えるべきなのでしょうか。
真っ先にお客さま(利用者)の存在が浮かびますが、他にも従業員、経営者、株主、取引先などのステークホルダーが存在します。

 

また、最も重要な指標であるお客さま(利用者)の満足、価値をどのような観点で整理するべきでしょうか。
東京理科大学名誉教授の狩野紀昭氏が提唱した「狩野モデル」を用いて整理するのが良さそうです。
これはお客さま(利用者)の満足、価値に影響を与える品質要素を以下のように分類し、優先度を整理するものです。

  • 当たり前品質:充足されていても当たり前と受け取られるが、不充足であれば不満を引き起こす品質要素
  • 魅力的品質:充足されていれば満足を与えるが、不充足であっても仕方ないと受け取られる品質要素
  • 一元的品質:充足されていれば満足を与えるが、不充足であれば不満を引き起こす品質要素
  • 無関心品質:充足されていても不充足であっても満足度には影響を与えない品質要素
  • 逆評価品質:充足されていれば不満を引き起こし、不充足であれば満足を与える品質要素

こうやって整理すると、お客さま(利用者)が気にしないポイントや逆に離反をまねくようなポイントに注力するリスクを軽減できますね。

 

この点をさらに掘り下げて考えたいところですが、それはまたいつか。

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